メリー・メリー・スターライト!
今年も星芒祭が近づいてきました。
MHMUのモーグリたちも例年に負けず劣らず年末の一大イベントの準備に忙しい様子。
工房に入ったばかりの新人も、親方モーグリたちに叱られつつ、
熟練工たちに混じって一生懸命です。
それでもどこの世界にも、新米ゆえの失敗というものはあるもので……。
うっかりもののニュービーは、冷や汗を流してしまうことも多々あるとか。
「……ボクには職人の才能が無いクポ?」
星芒祭が近づき、活気づく工房の中、ひとり落ち込んでいるモーグリがいた。
今年配属されたばかりの新人だった。
みんなからは名前では読んでもらえず、《新入り》(newbie)とだけ呼ばれている。
「どうしたのクポ?」
声に振り返ると、友人のモーグリが小首を傾げて心配そうな顔で見つめていた。
「ボク……失敗ばかりで……」
「失敗したのクポ?」
「オーケストリオンの箱のカンナ掛けを失敗して、うまく組みあがらなかったクポ」
「まあ……クポ」
友人のモーグリはどう慰めていいかわからない、という顔になった。
彼女は新入りの中でもとびきり手先が器用で知られていた。
0.001イルムのズレも許されない仕掛けを先輩の倍の速度で作ってのける。
「おいそこの《新入り》!」
振り返ると親方モーグリが怖い顔で睨んでいた。
「仕事だクポ!」
「は……はいクポ!」
《新入り》が言いつけられたのは「Astral Box」の制作だった。
「Astral Box」は、冒険者向けの星芒祭の贈り物を詰めた箱である。
余計な装飾のない白木作りになっていて、
風雨に耐える耐久性と、僅かな衝撃でちゃんと壊れる仕掛けが必要だった。
こうして《新入り》のからくり箱を作る日々が始まった。
※
木工職人の朝は早い。
まだ日の昇らぬうちから、《新入り》の箱作りは始まる。
白木の板から必要なサイズを必要な分量だけ切り出し、
カンナを掛け、防水の塗装をし、からくり仕掛けをほどこしたうえで組み立てる。
昼になってもロクに食事も取らず、夕方遅くに疲労と眩暈の末にわずかな栄養を摂る。
そんな日々が続いた。
「どうしても、箱の分解仕掛けがうまく機能しないクポ」
「Astral Box」は、入れ子箱(nest box)と呼ばれる秘密箱の一種だった。
箱を壊すと中からまた小さな箱が出てくる。
その、衝撃を与えて壊れる仕掛けの部分がうまく作動しない。
何個か目の外側の箱を作り終わり、中箱を設置しているときだった。
くらりと眩暈がして、《新入り》は踏み台から転げて中に落ちてしまった。
じたばたしてると、いきなり真っ暗になった。
(ど、どういうことクポ!?)
「仕方ないやつクポ。作りかけでサボるなんてクポ」
先輩の声と、カンカンと金槌を叩いて木箱を封じる音がする。
(閉じ込められたクポ!?)
必死で外に向かって訴えたが、
工房の中が騒がしいからか、それとも、封じた瞬間に箱に魔法が掛かったか。
《新入り》の声が届いた様子はなかった。
真っ暗な箱の中で膝を抱えていると、「怖い想像」ばかり湧きあがってくる。
(このまま荒野に設置されてしまったら、どうなるクポ)
(冒険者が箱を壊すときに、勢い余ってざくっと切られてしまうかもクポ)
(それともそれとも……)
(星芒祭の終わりまで放っておかれるかもしれないクポ!)
「出してクポ~!」
涙混じりの声で箱を叩くが、内側からではびくともしない。
叫び疲れてまぶたが重くなってきた。
うとうとしていると、闇の中なのに、目の前にぼうっと何かが見えてきた。
赤い服にふわふわの白い縁飾り……冒険者用のドリームローブ……クポ?
それに、美味しそうなプリンやチョコケーキ、家の形をしたお菓子まで……。
入れ替わり立ち代わり現れては消え……。
そういえば、
箱の中の贈り物は、箱を壊して冒険者が覗き込んだ瞬間に決まるという。
(あの噂はホントだったクポ……?)
うつらうつらしていた《新入り》の目を覚ましたのは、ぱあんという軽い音だった。
音のした瞬間に、四方を取り巻いていた闇の壁は消えた。
目の前に、作業用ハンマーを片手にした友人モーグリが立っていた。
「あ、やっぱりいたクポ!」
「助かったクポ!?」
見れば、いつもの作業場ではなく、いつの間にか、出荷待ちの倉庫だった。
周りには、完成品の箱たちが積みあがっている。
「よくここにいるってわかったクポね?」
「探したの。あなたがサボるはずないものクポ」
そこに親方モーグリがやってきた。じろりと《新入り》を睨みつける。
「こ、これから夜通し頑張りますクポ!」
「ふん。あたりめえだクポ」
落ちるほどの肩がないモーグリにしては、がっくりと《新入り》の肩が落ちた。
「だが、まあ……」
親方モーグリがぼそっと付け足した。
「この箱は良い出来だな。ここまできれいに壊れてる箱は見た事がねぇクポ」
足下で、《新入り》の作った大箱は衝撃とともに細かな木屑になっていた。
「毎年、箱の後始末が大変だったんだが……。ふん。この調子でやれってんだクポ」
そう言い置いて、背中を見せて工房に戻ってゆく。
「が、頑張りますクポ!」
《新入り》は前にもまして頑張り始めた。
今年の「Astral Box」は例年に増して出来がいいぞ。
とても綺麗に壊れてくれる。
そんな噂が冒険者たちの間に広がるのも、そう遠くはないだろう……。
Story : Miyabi Hasegawa Illustration : Mitsuhiro Arita |
開催期間
本イベントは2013年12月17日(火)17:00頃より、12月31日(火)24:00頃までを予定しています。
ミニゲームを遊ぼう!
イベント期間中、以下の場所にいるNPCに話しかけるとミニゲームを遊ぶことができます。ミニゲームをクリアすると星芒祭にちなんだアイテムや調度品「オーケストリオン」の合成素材とだいじなもの“オーケストリオン譜”が手に入ります。
南サンドリア(H-9)
バストゥーク港(K-8)
ウィンダス森の区(K-12)
・オーケストリオンとは
オーケストリオンは、モグハウスのBGMを自分が選んだ曲に変更できるようになる調度品です。星芒祭のミニゲームで素材を集めて合成するとオーケストリオンが完成します。
選べる曲はだいじなもの“オーケストリオン譜”とスピネットに対応しています。オーケストリオン譜は星芒祭のミニゲームで手に入ります。
BGMの変更は、オーケストリオンを設置することで扉付近に出現する“Symphonic Curator”で行います。
変更したBGMはモグハウス招待で招いたPCにも反映されます。ただし、インストールされていない曲が選択された場合は、モグハウスの曲が流れます。
※スピネットの曲を選択するには、モグハウスにオーケストリオンとスピネットを同時に設置している必要があります。
※オーケストリオンは錬成レシピで作ることも可能です。
これまでの報酬アイテムについて
過去の星芒祭で配布されたアイテムは以下の場所で手に入れることができます。
入手方法:モーグリ
北サンドリア(J-9)
バストゥーク商業区(G-8)
ウィンダス水の区(北側)(F-9)
入手方法:モーグリ
南サンドリア(J-9) /北サンドリア(D-8)
バストゥーク商業区(G-8) /バストゥーク鉱山区(I-9)
ウィンダス水の区(北側)(F-5) /ウィンダス森の区(K-10)
入手方法:モーグリ(特設店)
北サンドリア(D-8)
バストゥーク鉱山区(H-9)
ウィンダス水の区(北側)(G-10)
入手方法:箱(Astral Box)
西ロンフォール/東ロンフォール
北グスタベルグ/南グスタベルグ
西サルタバルタ/東サルタバルタ
入手方法:モーグリ
南サンドリア(H-9)/北サンドリア(J-8)
バストゥーク商業区(G-8)/バストゥーク鉱山区(I-8)
ウィンダス森の区(H-11)/ウィンダス水の区(北側)(F-9)
入手方法:モーグリ
南サンドリア(K-9) /北サンドリア(D-8)
バストゥーク商業区(G-8) /バストゥーク鉱山区(I-9)
ウィンダス水の区(北側)(F-5) /ウィンダス森の区(K-10)
入手方法:スマイルブリンガー
初級:東ロンフォール(G-6)/南グスタベルグ(I-7)/東サルタバルタ(G-11)
中級:ラテーヌ高原(K-8)/コンシュタット高地(I-6)/タロンギ大峡谷(I-6)
上級:バタリア丘陵(K-8)/ロランベリー耕地(I-6)/ソロムグ原野(F-6)