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メルヴィアンの手記 〜残された謎〜 (2014/07/02)
ああ、よくいらしてくださいました!
わたくしだけでなく、家の者たちはみな混乱しているのでございます。
まさか、あんなことが起ころうとは思ってもおらず……。
はい……はい……いえ、わたくしどもには何が何やら……。
ご主人様のご様子に何かおかしなところがなかったか、ですか?
それは……。
確かに以前にもまして、最近は家におられず、
図書館に、そして森へとお出かけになることが多かったのですが……。
元々メルヴィアン様ご自身も、開拓には熱心な方でいらっしゃいましたし、
さほどわたくしたちは心配していなかったのでございます。
……いえ、それは嘘でございますね。
実のところ、わたくしは少々心配しておりました。
わたくしはこの家に先代様のときよりお仕えしている身ですが……。
ここのところのご主人様の様子はいささか、
その……おかしゅうございました。
時おり……。
鏡の前に立ち。何時間も己の顔を覗き込んでいることがございました。
それがまるで初めて見るものであるかのように、
興味深げに、しげしげと……。
おかしなことを申しました。どうか、お忘れになってくださいませ。
はい。わたくしたちでご協力できることでしたら何でも。
ああ、少しお待ちください。
……。
お待たせ……致しました。どうぞこちらをご覧くださいませ。
これは、メルヴィアン様のお部屋の机の上に開いたまま
放り出されてあったものです。開拓日誌のようなもの、でしょうか。
この……最後のところをご覧ください。『こちら』です。
メルヴィアン様は、いったい何を見てしまったのでしょう……。