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私、グレンエスと申します。
アドゥリン家に勤めます侍女たちの長をやっております。
現在では十二家のひとつでしかないとはいえ、
アドゥリン家は、内にあっては都市同盟の盟主として、
外にあっては外交担当の長としての役割を担う名家でございます。
そもそも、アドゥリン家こそ、初代王の血を引く由緒正しき家。
兄のユグナス様も、妹のアシェラ様も、
幼き頃よりその血に恥じぬよう、徹底して帝王学を学ばれてきました。
まあ……アシェラ様は、王の血を引く者としては……
奔放、いえ自由闊達、いえ臨機応変にして変幻自在なところも
ございますけれど……。
失礼いたしました。
そも、民を率いる立場は、
民からの信なくば成り立たないもの。
日々の自らの行動は全て民に見られているのです。
厳しく自らを律し、民からの信頼を得ねばなりません。
アシェラ様ご自身が常々からそうおっしゃっているのです。
だからといって……。
没後に公開されることを前提にして日記を書く、
という覚悟までなさっているとは思いませんでしたが。
ましてや、誤字やら脱字やらがあってはと、
添削を侍女のひとりに頼んでいたなど。
『あなたの手を煩わせてはいけないと思ったの』
そう姫さまはおっしゃってくれたのですが……。
いささかこれは……添削しすぎな気もします。
というか、これではほとんど創作です。
「シンシア。いいから、ちょっとココに来なさい」
「……はい」
「まったく、あなたときたら……、
いつもは言われるまで一言も口を開かいなくせに」
「読み手は……意識すべき」
「だから、こんなふうに手を入れたっていうの?」
「……超大作。がんばった」
「あなたったら、もう!
あなたを信頼して任せてくださったというのに。
姫さまのお心遣いをどう思っているのですか。はあ」
どうやら、姫さまの日記を添削させるには、
彼女たち自身にもう少し教育が必要なようです……。
「アシェラの日記」シンシア添削版は、『こちら』。
開拓状況の今を伝えるミニ新聞『アドゥリン・エグザミナー』。
新米記者たちによる2つめの記事が早速到着しましたクポ!
今回は、開拓者たちの間でうわさになっている、とある人物についての突撃取材──とのことクポ。
んん?
開拓のレポートかと思ったら、街の中で取材したクポ?
そんなに気になる人物だったクポ?
開拓者のみなさんにはぜひ読んでほしい。
と、スケプティック・オウルさんからのメモが付いてるクポね。
気になるクポ〜。
アドゥリンの街で記者たちが出会ったとある謎の人物についてのレポートは『こちら』。