Du'Dha(??? - 500頃)
魔法・力の時代にまたがる長期にわたってクゥダフ族を統治した王。在位250頃 - 524。異名「不老のドゥ・ダ」。 クゥダフの記録によれば、若い頃のドゥ・ダは王族でありながら虚弱。クゥダフの誇りである背甲を根元に脱ぎ捨て、独り樹上で読書する道楽者で、誰からも後継者とは目されていなかったようだ。しかし戯れで始めた甲殻占いがよく的中すると評判となり、やがて王に招聘されて国家の大事や天災の対策に至るまで献策を始め、その功績により後継者に指名されたとされている。 その名が人間の史実に初めて登場するのは291年。デルフラントにクゥダフ族の軍勢が大挙来襲し、当地を狩り場としていたエルヴァーンのクームルド族(※1)と争った顛末を書きとめたルーノル戦記である。その中で、クゥダフ軍を率いていた王ドゥ・ダは足が萎え、輿を使って移動していたと記述されていることから、生年は不明ながらその時点で既にかなりの高齢であったと推測される。 戦いに勝利したにもかかわらず、ドゥ・ダは一度占領した肥沃な土地を放棄して不毛の地とされていたパシュハウ沼を入植地と定め、地下都市ベドーの建設を開始。そのためクームルド族とも和解し、両者で緩衝地帯が策定された。 その後、エルヴァーン諸族はウィンダスと争って敗北、やがて占領下に入る等、周辺諸国は激動の時代を迎えたが、ドゥ・ダは金属と宝石を着けた背甲による位階を定めて兵制を改革するなど富国強兵に努めつつも、急進派を抑えて不介入を貫いた。 その外交路線に転機が訪れたのは381年。サンドリア族(※2)の長ランフォル(後の初代サンドリア王)が単身ベドーを訪れた際である。彼の胆力と知略を認めたドゥ・ダは「余にもっとも近き者である」と彼を賞賛してサンドリア族と同盟を締結。沼地にウィンダスの大軍を誘い込んで包囲殲滅し、ランフォルの勝利に大いに貢献した。 サンドリア王国の建国後もドゥ・ダとランフォルとの交友は続き、彼の葬儀には供の者数人を連れただけで突如参列してサンドリア国民を驚嘆させた。 500年頃、自らの死期が近いことを悟ったドゥ・ダは百年後までの国策を碑文に刻ませると、王宮に篭って断食の行を開始。死してなお二十余年ほど王であり続けたが、やがて将軍ヴォ・ゴが王宮の封を破ってドゥ・ダの死を国民に知らしめ、王位を簒奪。碑文は破棄され、クゥダフは地下資源を求めて領土拡大へと動き出すこととなった。 ※1 クームルド族:サンドリア王国が建国される以前、クォン大陸中部に割拠していたエルヴァーン有力氏族の一。 ※2 サンドリア族:現在のロンフォールの辺りに割拠していたエルヴァーン有力氏族の一。ウィンダスによって一度滅ぼされたが、後に族長ランフォルの活躍で勢力を盛り返し、サンドリア王国の礎となった。 Illustration by Mitsuhiro Arita
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